プノンペン会議での学生報告

プノンペンで開催された国際開発研究科主催の国際会議に出席してきました。他のスケジュールの都合で、2泊4日の強行日程となってしまいましたが、私は学生報告セッションの司会を担当しました。

私の担当したセッションでの報告は(1)カンボジア農村における土地取引と生存戦略の変化、(2)フィリピンにおける洪水災害リスクよる社会経済変化への対応、の2本。

特に意図したわけではないですが、どちらも私の現在の研究課題に大変示唆的であり、おもしろかった。

カンボジアの報告は、農村部で土地取引を行ったことのある農家への実証的調査に基づく無のであり、農村部でも土地取引が盛んになっているが、取引の動機は農業収入の不足分の補完、特に車やバイクなどの消費財を購入するためがほとんどであり、生存戦略の多様化(たとえば起業や収入源の多様化)にはあまりつながっていないという内容であった。特に、結果として土地の集中、土地なし層の増加、農業従事者の収入減少、土地利用の非効率化(これの理由を細かく聞くのを忘れた)、などの結果を引き起こしているという。このような調査は、法整備支援の想定する成果を検証するために重要な事項だとおもう。もっとも、農村部での土地所有は土地法や民法の想定する所有権ではなく、慣習的土地保有(住民の記憶に基づく)ものであり、都市部のような法的な登記の存在を前提としていない。しかし、土地集中により生まれた地主層は近代的土地権の農村でも求めるようになり、今後はそれが広がっていくだろう。

フィリピンの報告は、深刻な台風被害を受けた県での現地調査を元に、災害リスク管理におけるボトムアップアプローチ、物理的災害管理(堤防や河川改修)と制度的災害管理(避難・復旧プロセスや住民意識向上)との統合について述べていた。調査対象となった県では、このようなアプローチの採用に積極的であるが、他の地域では大きく温度差があるとのことだった。特に、物理的災害管理への偏りが、住民コミュニティレベルでの災害対処能力をスポイルするという指摘は興味深かった。

今回はついでに、プノンペン王立大学にある日本法センターも除いてきた。

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