マーカス・デュ・ソートイ、2013、『素数の音楽』、新潮文庫

原著:Marcus du Sautoy, 2012, The Music of the Primes

数学に数論という分野があり、数がどのように作られているか、ということを探究するそうなのですが、そうしたなかで、2,3,5,7,11,13,17といった素数は、1とその数以外では割り切れないために、数の根本をなすと考えられてきました。私は素数の存在を所与に考えてきたのですが、素数を作り出すための方程式は存在するのかという問いは、これまで多くの数学者の関心を集めてきたようです。何十人もの天才数学者たちがこの問いに取り組み、その中で屈指の金字塔であった「リーマン予想」の証明に立ち向かいながら、今日まで誰もその証明を無しえていないと知り、科学の探究にかける純粋な熱意を感じました。この本にはほとんど数式や証明はでてこず、そうした数学者たちの素数をめぐるライフヒストリーが次々と語られています。海だけでなく、ときには百年の時を超えて、しばしば偶然の出会いによって、数学者同士が意見交換をし、互いに考えを探ってきたことがリアルに物語られています。

とりわけ、リーマン予想が、素数を構成するある音楽の調べを表しているというのは、科学の魅力を端的に物語るものだと思いました。

 

This entry was posted in 未分類. Bookmark the permalink.

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

*