アベノミクスと年末

浜田宏一(2013)『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社)

言わずと知れたYale大学名誉教授が、一般向けに自説を説明するために書かれたもの。年末に関西空港の出発ロビーで買っただけあって、極めて読みやすい内容でした。論旨はシンプルで、変動相場制下では金融政策が最もデフレ対策として効果があるにもかかわらず、日本銀行は積極的な金融緩和策を展開してこなかったため、リーマンショック以後の米欧での金融緩和の余波が日本での円高に波及し、これが企業経済を悪化させ、デフレを深刻化させたというもの。それに対して大規模な金融緩和を行うべしとの筆者の対処法は、その期待値も含めて2012年末から2013年にかけて実施されたので、当時としてはインパクトがあったと思われるが、アベノミクスの「第三の矢」が喧伝される2014年暮に読むにしては、いささか時宜を逸した感がありました。もっとも、国債暴落論や高齢化といった人口構造論、それらを理由とする消費税増税に対して疑問を呈しているところは、今日でもまだ議論されうるように思います。また、歯に衣着せないだけに面白く読みました。タイトルの意味はよく分からなかったのですが。

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