同僚の日下先生からお借りした本。フィリピンに長年通い続けた著者が、日本の国際協力機関が関係するダム建設プロジェクトが実際に不十分な補償しかもたらしていないことを調査したものです。実際に複数のバランガイ(地方自治体の最小単位)で数十の世帯や個人にインタビュー調査を行ったもので、クライアンテリズムや砂金経済の役割を踏まえた実証的なもの。本書はローカル知(現地の人々が生活の中で持っている情報)を重視する立場ですね。とにかく丁寧なお仕事です。私自身、正直、どのようにすれば資源開発プロジェクトが「成功」すると言えるのか、「成功」事例って何なのか、まだ本書を読んでもよく分からないので、今後とも勉強を続けていきたいと思っています。ローカル知を積み上げられた本だけに、日本でも研究者ではない方にも読んでほしいものですが(各地の大学図書館にはあるみたいですが、コマーシャルにはならないのかな)。
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