島貫智行『派遣労働という働き方ー市場と組織の間隙』有斐閣

日本の派遣労働について、インタビューと統計分析を交えて、派遣元ー派遣先ー派遣労働者が関わる三者関係と、仕事の質(job quality)などに着目して論じた良著。2008~2012年頃の派遣労働をめぐる状況と、それについての様々な当事者の見方が体系的に整理されています。基本的には派遣労働は正規労働に比べて様々な点で困難があることは認めながら、なぜどういった困難が生じるのかを具体的に論じており、その上で派遣労働者がルールの下でどう対処しうるかにも目を配っています。もっとも、それほど対処できることは多くないような印象も受けました(基本的には対処を模索する方法がいろいろあることがわかるものの、困難を実際に打開するようなものではないような…。既存のルールの下での対処となると、可能性はかなり限られるように感じました)。個人的にはpp.303-305の「派遣労働のこれから」で提言されている3つの可能性が面白かったです。

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