シンガポール研究を専門とされる著者が、長年の経験とアジア政治研究者との議論を通じて紡ぎあげた好著。複数の国の具体的な事例を適切にとりいれて自説を展開している点は、比較政治学の真骨頂といえるもので、大変勉強になります。比較分析というのは、自説に照らして事例を切り盛りするわけなので、各国ファンから「偏った理解だ」とか「知識が足りない」などの批判が集まることがよくあります。しかしながら、そういった各国ファンからの批判を恐れるならば全く歯切れはよくならないわけです。そういった高いハードルがあるだけに、この本は秀逸であろうと思います。私自身はアジア政治研究は全くの門外漢ではあるのですが。来年度の全学教育科目「国際開発学」のテキストの1つになる予定です。
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