海外実地研修

海外実地研修(OFW)とは?

1. 背景と目的

本研究科は、国際開発・協力分野における研究者や実務者の人材育成には発展途上国での臨場体験の機会 をカリキュラムに組み込む必要があると考えます。専門的理論や政策的課題については教室内での学習が可能ですが、近年その重要性が認識されている持続可能 な開発や参加型開発においては、各種利害の調整を通じた現実的な問題解決が求められ、それには専門分野にとらわれない学際的・総合的なアプローチが必要と なるためです。このような課題をトレーニングする場としては、実際の開発現場において具体的に問題把握がしやすい比較的小規模な行政区でのケース・スタ ディが適していると思われます。そのため、本研究科では毎年、正規のカリキュラムの一環として海外実地研修(Overseas Fieldwork, 略称OFW)を実施しています。

海外実地研修の目的は以下の通りです。

  1. 途上国が直面する開発に関連した諸問題を学生自らが直接見聞する機会を与える。
  2. 異なる専門分野を持つ人々とのチームワークを通して学際的視点を養う機会とする。
  3. 小規模地域でのケース・スタディを通じて、さまざまな利害を統合調整するために必要な見識と能力を醸成する。
  4. 異なる文化的・専門的背景を持つ人々の間でのコミュニケーション能力を向上させる。
  5. 国際社会においてもっとも広く使われている言語である英語を用いて作業を行う機会を与える。

2. 近隣諸国との学術交流を通じて

1992年からスタートした海外実地研修は、当初、タイ、フィリピン、インドネシ アの3ヶ国でそれぞれ2年連続、6年間をひとつのサイクルとするローテーション方式で実施されてきました。その理由としては、各国が異なる開発上の特徴を 持ち、異なる発展段階にあるので、それらをやや間隔をおいて反復的に調査を行うことで発展過程が比較可能であること、そして本研究科はこれら3ヶ国を代表 する大学との間に学術交流協定を締結しており、OFW実施に必要な現地協力や共同の調査研究が可能であることなどが挙げられます。本研究科では毎年これら の大学から客員研究員を招聘するなど、学術交流の推進にも努めています。近年では、アジア諸国の中でも順調な発展を遂げているカンボジア、タイ、インドネ シアを新たな研修先と し、研修先の多様化にも力を注いでいます。2012年度は昨年度に引き続きカンボジアで研修を行う予定です。

3.海外実地研修の流れ

オリエンテーション
海 外実地研修に参加できる大学院生の総数は、調査のフィージビリティと教育効果とを考慮して、約30名程度としています。参加者の問題意識に加え、研修に参 加するのに十分なコミュニケーション能力などが要求されます。通常、参加者はセクターやサイト別の4つか5つのグループに分かれ、作業に入ります。なお、 国内で行われる事前研修と海外での実地研修を履修した者については、それぞれ2単位ずつ単位が与えられますが、事前研修を履修した者だけが海外実地研修に 参加できます。

事前研修
現地でのフィールドワークをより充実したものとするため、事前研修を実施しています。この研修期間に、本 学教官や提携大学から招聘した講師または学外の講演者が訪問国や地域の最新の現状や課題を概説します。また、参加者はグループ別の自主勉強会や現地での調 査内容についての準備を進めます。1998年度以降は、可能な限り、調査分析の手法としてFASIDによるPCM(Project Cycle Management)を用いることとし、その習得のための研修もFASIDの協力を得てGSIDで実施しています。

海外実地研修
海 外実施研修の実施時期は毎年異なりますが、これまでは8月、9月、10月のいずれかに実施されてきました。現地での滞在期間は近年では約2週間となってい ます。参加者はGSIDの引率教官と現地提携大学の引率教官からのアドバイスを受けながら、現地調査を実施します。必要な場合は、現地提携大学より学生通 訳ボランティアを雇うこともあります。各グループはそれぞれの分析地域・対象における現状把握及び問題分析を行い、それらの結果から重要課題についてまと めをし、結果発表に備えます。研修期間の最後には、現地にて調査結果のプレゼンテーションを行い、現地における研修を終えます。

報告書
現地でのプレゼンテーションに対する評価やコメントに基づき再度分析を行った上で、調査結果の最終レポートを提出します。成果品がグループレポートになる か個人レポートになるかは、その年のプログラムによって異なります。これらをまとめたものは、Overseas Fieldwork Report(海外実地研修報告書)として毎年刊行し、関係諸機関へ配布しています。